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16.02.06

桃浦漁業者と仙台水産が取り組むかき生産者合同会社を見学

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16年3月6日に仙台水産のご厚意により、石巻市桃浦のかき生産者合同会社を、小松正之氏らと見学してきました。
かき生産者合同会社は、桃浦地区の漁業者と仙台水産が震災後に立ち上げた会社で、水産復興特区を活用した取り組みとして注目されています。

とはいえ、低地にあった集落は津波で壊滅し,居住制限がかけられ高台への集団移転事業を進めていましたが、震災前に65戸あった集落は、震災後4戸まで減少してしまいました。
漁業者も廃業と死亡によって48人から20人までに減少し,そのうちかき養殖漁業者は、19人から15人に減少。しかも高齢化率が非常に高い状況です。

漁業と生活が一体的になって集落コミュニティが成り立っていた桃浦では、漁業を柱とした雇用と定住の安定化を図り、桃浦を将来に残していく再生の道を選択をします。その推進体制を強化するために、外部企業の力を取り込める水産業復興特区を活用しています。

市場への安定供給と会社経営を採算ベースにのせていくための生産体制を確立していくためには、まだまだかき剥き子が足りない状況です。かき剥き子の高齢化と集落からの人口流出による深刻な人手不足を補うために、剥き子に頼らない生産体制を目指す試みとして「かき超高圧処理装置」を導入しています。会社には転入してきた社員も入ってきているようですが、熟練技術者から次の世代への技術継承が新たな課題になっています。残された時間は限られていると、会社では危機感を持っています。

「かき超高圧処理装置」は、実質7人分の処理能力です。装置は1台1億2千万円するそうです。
牡蛎の減菌効果が期待できそうで、それが証明されればブランド力の向上につながるかもしれません。

合同会社の目標は、単なる産業復興ではなく、集落全体の復興です。
従業員に安定した収入と魅力的な労働環境を提供し、小学校を再開できるまでの人口を取り戻そうとしています。
まさに合同会社は、コミュニティの再生を目指すまちづくり会社と言えるでしょう。

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カテゴリー:ノルウェーに学ぶ水産業   投稿日:16.02.11